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壷中の天国(上) [ 倉知淳 ]のレビューは!?

年齢不詳さん
表紙に猫が描かれていて海外のコージーミステリーが好きなので、そういうお話だと期待して読み始めました。でもいつまでたっても猫は出てきません。結局最後まで猫はなんの関係もありません。なんでこんな表紙?…まぁ内容がおもしろければそんなことは気にならなかったのですが、主人公のシングルマザー知子(とその父親)のなんとも魅力のないこと。父親が公務員なので食べることには困らない、しかしおそらく自己満足のためにクリーニング屋さんでアルバイト。小学校時代の同級生正太郎が絵画教室を開いていて我が子をそこに通わせているので、ことあるごとになんだかんだと正太郎相手にダベるのです、それも根拠のない上から目線で。(正太郎がいわゆる素人探偵の役割なので彼にストーリー展開を担わせる必要があるのでしょうが)父親は近くで起こった連続殺人事件に野次馬根性丸出しな人物でありながら、なにかと人を小馬鹿するような話し様。まだ50代ぐらいだと思うのに「けしからん!」とか「決まっておる!」とか一体いつの時代の言葉遣いでしょう。この父娘にイライラさせられ読み進めるのが本当に苦痛でした。ミステリは江戸川乱歩氏や横溝正史氏、小池真理子さんや加納朋子さんなどが好きで、その緻密さ繊細さと比べるのは少々酷な気もしますが、知子がシングルマザーになった経緯の説明も浅く、人物描写の垢ぬけなさ、深みのなさにビックリでした。第一回本格ミステリ大賞受賞作ということですが、ミステリ云々という前に小説としての読後感は最悪でした。